2017年2月4日。久野塾ダイアログ塾6期初回プレゼン当日。約40人の聴衆を前に、10分間のプレゼンに臨む。砂時計が時を刻み、10分間の発表が終わる。その後20分間の質疑応答。プレゼンが終わった後、頭の中は真っ白であった。自分が何を話したのか、全く覚えていない。質疑応答の中で、理事からAIがしゃべっていたのかと思ったというコメントがあった。言い得て妙である。
質疑応答における対話を通して、徐々に自分を取り戻したものの、近年の記憶にない変な汗をかいた。これまでの人生の中で最も衝撃的な誕生日となった。
2016年12月。私は組織の中で新たなステージに踏み出すための大事な準備を進めていた。 コンフォートゾーンから脱却し、ストレッチしなければいけない、半ば焦っていたのかもしれない。
私は何がしたいのか?私を突き動かすドライブは何なのか?目前の業務に追われる中で、何となく日々を過ごしていた私は、自分の内からこみ上げる熱望に基づいて本当に成し遂げたいことが何なのかを突き詰めていく中で、迷い道に入り込んでしまい、壁にぶつかっていた。このようなタイミングで私は久野塾と出会った。
久野塾と出会ってから、私が最初にとった行動は、「立ち止まる」ということ。自分で時間を強制的に確保する仕組みを作り、自分と向き合う時間を確保した。毎日自分と向き合う時間を確保してみると、これがまた面白い。自分がどういう人間で、何が好きで、何をしていたいのか。自分らしさは何で、日々の行動を突き動かすものは何なのか?自問自答の繰り返し。
毎日少しずつノートに書き出しては振り返り、書き出したキーワードを眺めてみる。前提を疑うという気づきを得て、書き出したキーワードを疑ってみる。ここまで深く自分自身のことを考えたことはなかった。どうやら自分は組織を作ることが一番面白いと感じているようだ。
次に私が取った行動は、「仮説に基づいた小さな実験を繰り返す」ということ。自分を取り巻くいろいろな人たちと対話し、仮説に基づいた実験を行い、フィードバックをもらう。私はどんな人間か?どんな瞬間に私は最も活き活きしているか?あなたの夢は何ですか?あなたはどんな時に幸せを感じますか?自分では当たり前と思っていることが当たり前ではないケースや、想定外のリアクションが返ってくることも多かった。どうやら私は自分の中で勝手に枠組みを作ってしまっていたようだ。既存の枠組みを外して、何か新しいことをしてみよう。新たな一歩を踏み出す覚悟ができた。
これまでにない魅力的な組織を作ってみよう。今いる組織を一人一人が活き活きとやりたいことを実現できるような最高の組織にしたい。そのためには何をしたらよいだろうか。夢の実現に向かうための道筋を日々の行動に落とし込み、夢を追い続けることによって結果を出す。どうやったら夢が実現できるのか、そのための道筋を考えて実際に行動してみよう。久野塾ゲストスピーカーの話から得た気づきであった。
自分が所属する組織という小さな殻に閉じこもっているだけでは、決して出会うことがなかった多種多様な業界のインフルエンシャルな人たちと、真剣に向き合って対話をする。対話を重ねながら、自分は本当に何を実現することを望んでおり、何を大切にしているのか。周りを巻き込みたいという思いを実現するためにはどうすればよいのか。決して正解は一つではない。
必要だと思った情報を惜しみなく提供し、積極的に自己開示を行う。常に誠実に熱意をもって組織のメンバーと向き合い、この人でなければダメと思わせる人材になりたい。周りを巻き込むためにはまず個を磨き、自分の中でぶれない軸を持つ必要がある。自己開示の持つ圧倒的なパワーは、ダイアログ塾同期生との対話の中から得た大きなギフトである。
深い霧はだんだん晴れてきたようだ。
今私は多くの仲間と共に、最高の組織を作るために日々実験を重ねている。このようなドライブがかかった状態はいつまで続くのであろうか。個を磨き、自分の軸をメンテナンスするために心と体のキャリブレーションを定期的に行う。久野塾と出会って得た最大の財産。それは対話を通したギフトのキャッチボール。これからも継続して取り組んでいきたい。