ダイアログスクール9期生 井上達勇

 

私が久野塾とご縁を頂けたのは、とある経営者向け研修で出会ったダイアログOBの方からの紹介でした。「大変だけど、面白い研修があるよ?」という言葉に、内容も理解せず二つ返事で参加を決めたのが始まりです。

初回ダイアログで、予想していたものとは全くかけ離れた強烈な場に衝撃を受け、質疑応答ではオーディエンスからのコメントや質問にタジタジになってしまった事は言うまでもありません。気軽に参加してしまったが、なんてモノに足を踏み入れてしまったのか…。大阪へ帰る新幹線の中で、これから一年間続くプレゼンを考え途方に暮れていました。

 

久野塾は「個」を磨く場。しかし参加当初の私は勢いだけで参加してしまったこともあり、自分がここに参加している理由とダイアログの意義がずれてしまっていて大変苦労し、情けない思いをしました。

第三講までの私は、業務上や会社における仕事の話ばかりで、自己と向き合うことを避け、ごまかしてきました。現状の人間力やスキル、経験値を認める事が出来ず、知ることを恐れていたから、過去の仕事での成果や苦労話で成り立たせようとしていました。

「自分自身の本質的な問題から逃げてしまっている。」

「ダイアログに参加し発表している理由は何なのか?」

「経営者である前に、個人として何を大切にし、どんな人物になっていきたいのか?」

厳しくもハッとする意見や質問を下さる理事の方々やオブザーバーの方々、志の高い同期塾生とのダイアログを通じ、本当の自分に正直な生き方をしたい、自己成長したいという考えに変わっていきました。

プレゼンの評価に一喜一憂するのではなく、自分自身を知る為に課題に取り組み、指摘を謙虚に受け入れる。そして自分の欠点に向き合い、自己変革する行動を起こしていく。

自問自答を繰り返す中で、最後まで逃げず食らいつき、あきらめず考え抜くという覚悟ができました。

 

久野塾で学んだこれからも大切にしていきたいこと、それは自分の考えを理解させる以上に、自分自身を信頼してもらうことです。

・目先の結果よりも、周りの人たちの信頼を得る行動に集中する。

・対話が意義あるものになるように相手本位で対話を行う。

・共感を得られるように、心に深く届けるにはどうしたら良いのかと考え工夫する。

不透明で正解が予測できない時代の中で、自身が決断したプロセスを丁寧に説明し、納得して迷わず走り出せるように、個人の覚悟をまず伝えられるリーダーシップが試されていると気づかされました。

 

私達は今、コロナ禍といった時代の大変革の中で、イノベーションにつなげるための具体的な行動が起こせる、絶好の機会を得ています。

そして久野塾は「自ら考え、実践する」力を与えてくれていると確信しています。

もしダイアログに参加していなかったら、コロナ禍に不安を感じ、機会と捉えられなかったかもしれません。

自分達の企業存続に精一杯になり、企業の存在する理由を発揮できないほどつらい事はありません。どうせなら、この様な世の中の危機的状況であるからこそ、わが社が存在する価値を活かせているか? 従業員のみんなに安心を感じて働ける環境の対策が十分にできているか? お客様や地域社会にどのような貢献ができるのか? このコロナ禍を踏まえたプランを組織で共有できているか?という前向きな経営に取り組み、今を絶好の機会にしたいと思います。

最後は、ダイアログへの参加に迷っている方に一言。

挑戦の先には何が待っているのでしょうか?まずは打ちのめされて情けない自分から始まるかもしれません。しかしそれが当たり前。むしろ初めから上手くいってしまったことなんて、自分自身にとってはそれほど価値がなかった事かもしれません。だからダイアログでの経験が、自分自身の壁を打ち破る原動力になるはずです。