代表理事副塾長 鈴井博之
【VUCA時代こそ、自己肯定感アップの好機!】~久野塾 誕生10年を目前にして
「VUCA」・・・この言葉は1990年代に軍事用語として発生したようです。その後、2010年代に入りビジネス界においても使われる様になってきました。久野塾が私塾としてスタートしたのが2011年2月、久野塾のこの10年間は正に「VUCA」の拡散と共にあったと言えます。そして、その「VUCA」は多くの人々に「不安」を感じさせていることと思います。そして、その「不安」に紋々と「悩み」、そして、それにどう対処していいのか分からず自身の「自己肯定感」を低下させてしまっている側面もあるのではないでしょうか。
多くの皆さん既知の通り、久野塾では、ダイアログスクールであれ、ビジョン創造スクールであれ、「行動」に拘っています。何故か? いろいろな理由があるのですが、今回は「行動」が「自己肯定感」の上昇に繋がるという点を挙げておきたいと思います。
「VUCA」の時代には予測不能な様々な事象が発生します。とりわけNegativeな事象が発生した場合、または、それが予測される場合、その事象は自身で「Controlable(コントラーブル・制御可能)」なことなのか、それとも「Un-controlable(アンコントラーブル・制御不能)」かを冷静に考えてみることが必要です。「Controlable」な事象に対してはきちんとその対処方法を考え、そして実践を図っていくことは当然のことかと思いますし、これをしない事は単に怠惰としか言いようがありません。
問題は「Un-controlable」な事象への対応です。「Un-controlable」なにことに関してはどうしていいか分からず、ただただ「不安」と感じてしまうことが世の常かと思います。この「不安」は自然と沸き起こる感情ですから、どんなに努力しても消すことはできません。
では、どうするか? それは、Negativeな事象や状況の中であっても、自身で出来ることを探すことに意識を集中し、それが何なのかを考えることです。どんなに小さな行動でもかまいません。そして、その行動を実践してみることです。すると、その行動に何らかの成果が生まれます。具体的に自身にもたらされる成果もあれば、周囲から「それ、いいネ。私もやってみよう」というようなコメントも成果の一つです。こうした成果は少なからず自身に「達成感」をもたらし、そして、「自己肯定感」のアップにつながります。
不安による心のマイナスを「達成感」というプラスで相殺していく発想です。不安によるマイナスを消すのではなく、そのマイナスを他のプラス要素で相殺するということです。そして、幸いなことに人間の脳は、嫌なことの関する記憶は徐々に薄れていく傾向があるので、月日が経過すると「達成感」のみが頭に残り、これが「自己肯定感」の高さに繋がっていきます。
VUCAの時代で不安が多ければ多いほど、小さな「達成感」を積み上げていく好機です。しかし、それには、単に「Un-controlable」な事象に対して不安に感じたり思い悩むのではなく、小さくてもいい、自身が出来ることが何かを考え、行動していくことが必要です。
一つだけ事例をあげます。あるメーカーでは電子部品の調達困難な状況が続いています。この状況は購買部においてはUn-controlableです。顧客の納期要請に応えられないし、収益にも大きな影響を与えかねない大きな不安を抱えています。こうした状況で、一購買担当者として出来ることは何か?・・・そのアイディアをチームで出し合い、愚直にもそのアイディアを実践している会社があります。だからと言って、調達困難な状況は解消するわけではありませんが、一つでも二つでもその実践が小さくでも功を奏しています。そして、その小さな達成感が購買部全体のモチベーションを非常に高い状態にしています。
この「VUCA」の時代だからこそ、久野塾という場をより積極的に活用していただき、共に「考え」、「意見を交わし」、そして、「行動」をしていきましょう。さすれば、皆さんの人生はより良きものになり得ますし、日頃の仕事においても功を奏するに間違いありません。