近岡知美(チカオカ トモミ)
ダイアログ9期生 アドバンスド2期生
個を磨く
「近岡さん、来年“久野塾”という勉強会に参加してみたらどう?」と、人事部から声がかかった。「自分なりのリーダーシップ、ビジョンを構想し、他流を通じて昇華していく仕立てであり、まさに多様な価値観や考え方を受け入れる好機」であるとの文字を読み、即決していた。声をかけてもらったタイミングは、経験したことのない商品企画の部署に異動したばかりで、自身の在り方やキャリアについて迷っていた時期であった。この久野塾に参加することは、会社とは異なるコミュニティであり、自分自身を違う角度から見つめ直す絶好の機会であると考えたからだ。
自分との対話、他者との対話、そして実験
ダイアログに参加している一年間は、かなり刺激的であり、あっという間に時間が過ぎていった。残念ながら、コロナ禍のため初回を除き全てオンラインでの参加となったが、それでも、多くの方との対話が私の個を磨く、行動していくモチベーションになっていった。
一年を通じて、自分との対話、他者との対話、そして行動を伴う実験をひたすら繰り返していた。このサイクルを回せば回すほど、自分自身の生き方・在りたい姿の輪郭がどんどん鮮明になっていくことを感じた。
特定の企業に長く所属していると、価値観や判断基準が企業に染まりやすくなる。私も会社の価値観と自分の価値観の間で衝突が起きており、その状況の中で、久野塾のダイアログに参加する度に、私が私を取り戻していくような気持ちを感じていた。
その理由はいくつかあり、まず、久野塾においては「いろいろな意見が存在することが当たり前」という考えが浸透していること。これは人の考え方に唯一無二の正解は無いことを表しており、だからこそ自由闊達な対話が行われる。価値観は多様性に富んでいることを受け入れる場があり、私はそれに安心感を抱き、自分自身をさらけ出すことを躊躇することがなくなっていった。
次に、ダイアログでの発表者も質問を投げかける人も、相手に「ギフト」を贈れるかどうか意識して、ダイアログの場に参加をしていること。相手を負かすための発言ではなく、相手を尊重した発言であるから、数多くの厳しいコメントもしっかり咀嚼して受け止めることができた。
その他、自分自身の“コアバリュー”を見つける課題を実施した際には、私ならではのアウトプットに対し、「それが近岡さんらしさである」といったフィードバックをもらったことも、私の価値観が否定されなかったことも大きく印象に残っている。
個を磨く その先に
現在、私は社内で人・組織の活性化に着目し、組織風土変革に向けて有志で活動を行っている。このダイアログでの対話を通じて、自分の在り方がはっきりしたことが、この活動に取り組む大きな後押しとなった。また、この有志活動をより大胆に進めていくためにアドバンスドの2期にも参加をしているところである。企業の組織風土を変えていくことは、かなりの長期戦になるが、それでも「やる」と決意したのは、自分の価値観が鮮明になったことで、迷いがなくなったのだと思う。
久野塾に参加し、キャリアだけではなく、自分自身がどう生きたいか、どう在りたいかを考え、行動に移すことができた。これからも着実に歩みを進め、目指す世界を実現できるよう邁進していきたい。