ダイアログ13期 奈木 南(ナギ ミナミ)

はじめまして。ダイアログ13期生の奈木と申します。
全6回開催されるダイアログのうち、最後のテーマである「リードザピープル(支援者の具体的な行動を引き出す)」の発表準備をしながら執筆しています。

【久野塾への参加のきっかけ】
私がダイアログに参加するきっかけとなったのは勤務先からの勧めでした。それまで私自身が「なにかを変えないといけない」という危機感を持っていたわけではなく、かといって「世界を変えていくぞ」という大きな情熱をもっていたわけでもありません。ただ、普段の仕事とは違う世界を覗いてみたい、という興味本位から応募をしてみることにしました。

【想像とのギャップ】
実際に久野塾へ参加してみると、非常に質の高い思考、言語化能力をもった理事・アドバイザー、オブザーバーの方々や明瞭なビジョンを持った受講生が参加されており、これまで体験したことのないようなハイレベルな対話の数々に圧倒されました。興味本位なんて軽い気持ちで受講すべきではなかったと反省しましたが、同時に、自分がこれまでいかに有象無象として生きてきたかということを痛感させられ、この機会を活かさないのは勿体ないとも感じました。

【久野塾を通して気づいた自身の現状】
13期のダイアログでは6つのテーマ(リーダーシップ/ビジョン/セルフブランディング/ソリューション/イノベーション/リードザピープル)に沿って進められます。恥ずかしながら、これらのテーマに対して、人生でこれまでひとつも真面目に向き合ったことはありませんでした。一方で、同期の皆さんは第一回の発表の時点で既に高い志、行動、成果をお持ちの方が多かったため、長い物に巻かれていただけの自分自身の現状に対し非常に焦燥しました。言うなれば、私のこれまでの人生は、何の料理を作るか考えずに包丁と具材を握っていたようなものです。これでは、どれだけ高級な食材を入手してもよい料理は作れません。

【受講を通して生まれた変化のきっかけ】
私自身は何をしたい人間なのだろうか?人を惹きつけるような力とは一体何なのだろうか?更に自分をステップアップさせるには何が必要なのだろうか?・・・など、各回の発表に向けて、これまで何度も内省を繰り返してきました。
こうした過程を経たおかげか、第一回の課題の一つにあった「自分のありたい姿は何か?」という問いに対して、受講前と今とでは全く違った考えを持つようになっていることに気が付きました。この変化が起きた理由として私の分析を以下に3つ紹介します。

1. 理事・アドバイザーの方々からの助言
私の発言の先は誰に向いているのか、その言葉に重みはあるのか、本当にそう思っているのか、といった私のコアの部分に対する質問や指摘をたくさん投げかけてくださりました。例えば、皆さんとの対話を通して、私はこれまで「ほかの人と向き合っている気分になっている」ことのほうが多かったという気づきを得て、深く反省しました。また、私のダイアログ発表後の質疑の中で、思わぬ解釈をされてしまい「そんなつもりはないんだけど」という言葉がよく浮びました。なぜこのようなギャップが生まれるのか?それは、誰かに何かを伝えるための言葉の選び方や所作にあると思います。久野塾は、これらを見直すきっかけとなりました。

2. 一貫したテーマ
1~6回のテーマに対して考察を深めていくと、このダイアログというのは一気通貫した一つの長いテーマだと気づかされました。そのため、過去の回のどこかに詰めの甘さがあると、そこから矛盾やほころびが生じ、理論が崩壊してしまうことがしばしば起きました。その度に毎回フィードバックをかけて、よりロジカルな自分の人生戦略、展望を練る作業を繰り返しました。これが、今回の自己変化を誘発するよいきっかけになったと感じています。

3. 同期メンバーの発表内容
一人で没頭してテーマについて考えていると、どうしても主観が強くなってしまいがちになりました。そんな中、同じテーマで発表される同期の皆さんの言葉は、他者理解を深めるうえで非常に貴重でした。
学生時代や社会人としての日々を振り返ると、同じような学問を志し、同じような目標を持った人々と接する時間がどうしても長くなります。その結果、自分の中で「偏った」常識・偶像ができてしまい、視野が狭くなっていることに気づかされました。今回、様々な分野の同期の皆さんによる熱のこもった発表を聴講し、この殻を破ることができた気がしています。

【最後に】
初めての発表から1年ほど経過しましたが、元々ぼやけてほとんど何も見えていなかった私の将来像に、最近は輪郭が表れてきつつあります。ダイアログ自体はこの1年で終わってしまいますが、この先何年もかけてこの輪郭の解像度をより高くし続けるためにも、ここで得た学びを活かし続けたいです。
私にとって久野塾とは、料理本ではありませんが、自分の力で料理名やそのレシピを考えるための手助けをしてくださる、とても大切な場となりました。