久野塾と私 
~それは知の融合 melting potかそれともsalad bowlか?~

h_nishimura
西村宏子(ニシムラ ヒロコ)
久野塾理事、アドバイザー
リテックス・ジャパン㈱
執行役員事業部長

ひょんなことから知り合った大学の先輩の岡津さんに誘われて、これまた大学の先輩で米国公認会計士なのにJAZZ歌手の方のライブに出かけたJAZZ CLUBで、「おもしろい勉強会を主宰している後輩がいる」と紹介されたのが久野塾長でした。まったくの初対面で、「久野塾にオブサーバー参加しませんか?」と言われ、深く考えもしないで参加したというのが始まりです。

「私もコンサルタントをしていますので、何かのお役に立てるのなら、でも年齢制限があるので塾には入れないのですよね」と言いつつ、参加してびっくり。一人のスピーチに対して、何人ものアドバイザーや塾生、オブザーバーからの質問や意見の嵐!真剣に話を聞き、いろいろな角度から指摘し合います。塾生は自発的に参加した人ばかり、自分の業務や働く環境、組織、業界をよりよくしたいと熱意にあふれていて圧倒されました。気が付くとアドバイザーとして参加することになっていました。

20~40代の塾生は職場のリーダークラスですが、部下ができるとミスしない限り、上司から何も言われなくなります。でもここ久野塾では、様々な背景をもった10~60代の人の前でスピーチし、「背中を向けて聞き手を無視している」、「板書した図が意味不明」、「パッションが感じられない」と容赦ない意見がバンバン飛んで来ます。

私自身もパワーポイントを使わないで仕事をしますが、今どきの人にはこのソフトを使わずにプレゼンをするのは至難の業かと思います。またカンニングペーパーを用意しても、質問の嵐の中で、どんなに準備しても無力であることを思い知らされるわけです。ところが最終回を迎えると、「○○さんの想いが胸に響いた」、「○○の一言を今日はシェアしたい」、「○○という考えに納得した」と共感する人が増えているのが不思議。

昨年5月、NHK大河ドラマの舞台である松下村塾での久野塾開催では、近代日本に寄与した人物の足跡を追い、困難を乗り越えやり遂げるパワーをもらったような気がします。塾生の発表もめげずに前向きになったかも。

久野塾は私にとって知の融合の場です。人種のるつぼはmelting potでしたが、最近のアメリカでは英語で溶け込むのではなくスペイン語も公用語化して、salad bowlと呼ばれるそうです。それぞれの人の持ち味が生きて融合して高みを目指せるとは、なんて素敵でしょう。

次回リレートーク担当は、奥田とし子さん(二期生)です。