人生が変わる瞬間~久野塾での至福のひと時
十年あまり久野塾に関わってきた中で、何より嬉しいのは、塾生の方々の本音です。「大人になると友人ができにくいと言うけれど、久野塾で一生の友達ができた!」、「初回でくじけそうになったが、同期と毎回壁打ちして、やり遂げることができた!」、「自分では入念な準備をしたのに破壊的なコメントが飛んできて、自分を俯瞰して見ることができた!」、「話し方がロボットみたいと言われてひらめいて大学院に行き、仕事を続けながら研究者になった!」、「クリティカルシンキングを身に付けて、物事の見方が変わった!」、「理事の頭の中はどうなっているのか?私も理事になってみたい!」などなど。 そして毎回、「会社辞めました」、「仕事を変えました」、「より自分に合う会社に転職しました」、「昇進しました」、「資格取りました」など「人生変わった」と報告があるのも、久野塾のお約束です。こうした皆さんの人生の節目に遭遇するのも密かな楽しみです。
人間30歳を過ぎると仕事への自負、自我が芽生えてなかなか自分の考え方、やり方を変えられないが、塾生の皆さんは毎回壁にぶち当たりながら、視野を広げ、視座を上げて、時に不器用に、時にしなやかに乗り越えていく。そして翌年には、オブザーバーとして堂々としたコメントで聴衆をうならせ、「すごい成長したー!」と私も感動で目がウルウルしたものです。
このコメント力について、ダイアローグの卒業生から、「理事はなぜあのようなコメントを出せるのか」と質問を受けたことがあります。私の場合ですが、まずは事前準備です。ダイアローグのテーマ、3つの質問と課題図書が事前に発表されるので、課題図書+αの書籍を読み、このテーマだったら塾生にこんなことを考えてもらいたいというイメージを頭に描いてから参加します。前回のダイアローグや昨年のダイアローグなどを参照することもあります。
当日は、ダイアローグのファシリテーターから課題について説明を聞きながら、まずは塾生の表情を見て、また後ろから他の人の話を聞いている態度やダイアローグに参加している様子を観察します。ダイアローグ中はひたすらメモを取る、ダイアローグ内容も記録する、自分の気になる言葉が出てきたら、自分のコンサルタントやカウンセラーとしての知見と結び付けて何か言うことはないか探します。反対意見の場合は反論を用意する、聴衆から何かいい意見が出てきたらそれに乗っかる、聴衆の意見が的外れの場合は疑問や指摘をして軌道修正するなどいろいろあります。ダイアローグが白熱化してくるとこちらも興奮して、「今日は激論を闘わせて、なんか楽しいなあ、来てよかったなあ」と、にやにやしてしまいます。
理事の皆様はビジネスの修羅場をくぐり抜け、グローバルに活躍されている方々なのでお話が面白く、塾生の人物をよく見抜いてのアドバイスが的確、言葉に重み、人間味があります。最近はアドバイザーはもちろん、塾生、オブザーバーからも珠玉のコメントが繰り出され、「あ、それ言いたかったのに先にコメントされてしまったわ」と悔しがるふりをしながら、バトンを引き継いでくれる人が着実に増えている幸せを噛みしめています。毎回私はたくさんのギフトを抱えて会場を後にするのです。これまで長い間大変お世話になり、ありがとうございました!皆様の更なるご活躍、ご発展をお祈りしつつ・・・。いや、まだあと半年、引き続きどうぞよろしくお願いします。