富田岳士(トミタ タカシ) ダイアログ3期生

 

私は残念ながら普通に卒業をしておらず、受講早々に転勤のため中退し、その後「補講」(広島嚴塾)を開催し卒業生扱いにして頂きました。今回、リレートークのご依頼を頂き、久野塾との関わりを改めて振り返ると、『個を磨く』、『ミッション・ビジョン・価値観』というキーワードが自身の中に大きな存在としてあり、組織マネジメント、リーダーシップの拠り所になっていると気づきました。久野塾との出会いから、広島での久野嚴塾開催の話、久野塾で得たものなどをお伝えしたいと思います。

 

■塾との出会い
塾との出会いは、成長期に陰りが見えてきた出向中の新会社で、新たな営業グループを立ち上げていた2013年頃でした。
組織マネジメント力、ビジネスパートナーとの関係性向上に役立つスキルを身に付けたいと考えていたところ、たまたま目に留まった「ビジネスコーチング」を学び始めました。その時の恩師が久野塾長です。当時の会社は、成長期から、まだ迎えるには早すぎる成熟期のような雰囲気を醸し出し始めていました。開業以来、経営陣の強烈なリーダーシップで成長を続けてきたものの、勢いが停滞していました。更なる成長を続けるには、メンバーひとり一人が現場の状況に応じて能動的に有効な手段を考え、柔軟に行動することが重要で、個々人の力を高めることの必要性を感じていました。コーチングを学び、実践し、組織マネジメントや部下育成の成果が出始め、漠然と自信が付いてきていました。(当時の私に対し「それは、大きな勘違いだよ」と言ってあげたい・・・)組織作り、組織マネジメントを強みとして生業にしていこう。それが私の個の力でありコーチングスキルを磨けば高まると思っていました。

そんな中、コーチングの恩師である久野塾長から誘われダイアログ2期の見学に行きました。「世界に通用する個の力」って何?当時はVUCAなどと言う言葉も聞かない時代。コーチングスキルを付けておけば、世の中を渡り歩いていけるかな。あまり必要なさそうだけど、取り敢えず見学してみようと軽い気持ちで参加しました。

受講生は所属している組織ではなく、「自分自身」のビジョンを問われ、熟考してきた内容をプレゼン。「今のプレゼンはあなたではなく、会社の話。ここはあなた自身の話をする場。本気で考えてきましたか?」、「ここにいる人たちへのギフトは何?」理事、オブザーバーは厳しくも愛のあるフィードバックを惜しげもなく投げ返す。受講生と理事、オブザーバー「真剣勝負」に圧倒されました。今までの組織マネジメントは会社から機会を与えてもらって出来たこと。発言、行動に説得力が無ければ人を惹きつけられない。自身の浅はかさを実感したのを覚えています。今更そんなことに気づいたのは、外に目が向いていなかった、厳しいフィードバックを受ける機会が無くなっていたからだと切に思い、3期での受講を決めました。

■まさかの塾中退
2014年ダイアログ3期がスタートして間もなく、広島への転勤が決まりまさかの中退・・・。
当時はオンラインではなく英治出版会場でのリアル開催のみ。地方拠点の立ち上げでほとんど帰京せずダイアログ3期が終了。

■嚴塾開催
転勤が決まり、久野塾長から「広島で久野塾を開催しませんか?」という驚きの話を頂きました。自身を高めたい思いと、強烈なフィードバックを受け止める覚悟があるメンバーでないと耐えられない。縁もゆかりも人脈もない広島で直ぐに開催するのは難しく、半年くらい待って頂きたいとお願いしました。広島では、成長企業の取組み、成功事例などの映像を見て、参加メンバーが意見交換を行う朝活。同世代のビジネスパーソンが集い、ゲストスピーカーの講演を聞き、意見交換をするコミュニティ等に参加し、徐々に仕事関係者以外の人脈を創りました。

転勤して1年が経過した2015年。いよいよ広島での久野塾開催が決まりました。宮島の厳島神社から一文字頂き「嚴塾」と命名しました。朝活、コミュニティメンバーを中心に声を掛け、久野塾長、鈴井副塾長、塾生の弥富さんに多大なご協力を頂き、広島、岡山、山口、福岡から約20名のビジネスパーソンが集まってくれました。取引先などのビジネス上の繋がりでは無く、学びに対する姿勢、リーダーシップ・組織作りへの考え方に共感してくれたメンバーが集まり、第1講から非常に熱気がありました。

嚴塾のコンテンツは以下
<第1講>
・毎日の意識と行動を考える(仕事、会議、プライベート)
・未来予測と働き方を考える(Work Shift)
・個人のミッション、ビジョン、価値観、キャリアの目標を考える

<第2講>
・自分の人生戦略(ミッション、ビジョン、価値観)を考える
・自己投資をどうするか?
・フォロアーシップとは?

<第3講>
・グローバルで求められるリーダー像とは?
・リーダーシップとは何か?(資質とスキル、予測力、存在感、男女の相互理解)
・行動を考えるステップとチームが変わるステップ(個人→チーム→組織)

久野塾長、鈴井副塾長、更に第3講にはズナイデン房子さんにお越し頂き、塾生との熱のこもった対話、ガツンと心に響く講話をして頂きました。対話形式で学ぶ機会が初めての塾生が殆どで、最初は緊張、戸惑いがありました。しかし、アイスブレイクの他己紹介を終える頃には塾生同士が打ち解け、個人発表、対話、講話では塾生同士の質問が積極的に飛び交い、非常に盛り上がりました。

「今まで自分のミッション、ビジョンなどを考えたことがなかった。毎日を淡々と過ごしていては勿体ないと思った」
「リーダーシップは素質、センスが大事だと思っていた。スキルを磨くことで高めることが出来るとは考えたことがなかった」
「いかに視野が狭かったのかが良く分かった。広島で久野さん、鈴井さん、ズナイデンさんみたいな方の話を直接聞くことが出来たのは非常に大きな経験となった」

塾生からこのような感想をもらいました。まさに私が塾に見学に行った際の感想と同じです。ラップアップの「今日の一言」には、「覚悟」「発見」「刺激」「相互作用」「個」「わくわく」「チャンス」「新」「行動」「move」「力」「考」「目標」などの単語がホワイトボードを埋め尽くしました。私が記した言葉は「熱」です。塾生たちが目をキラキラ輝かせ、塾長、副塾長にも臆さず次々に質問を投げかける、最終講が終わる頃には矢印がしっかり自分に向いている姿を見て、熱意、熱気を強く感じたのをよく覚えています。

参加してくれた塾生は、地元企業で取締役に就任、全くの異業種に転職、新規事業開発でリーダーシップを発揮など、それぞれの分野で活躍されています。東京から遠く離れた広島までお越し頂き、多くのビジネスパーソンの考え方、働き方に大きなインパクトを与えた頂いた久野塾長、鈴井副塾長、ズナイデン房子さん、そして集客などにお協力頂いた弥富さんをはじめ関係者の皆様に心から感謝申し上げます。

■塾で得たもの
塾で得たものを改めて振り返って、特に実感したことは以下の2点です。

① 自分流のリーダーシップスタイルの確立、維持をするための拠り所になっている。
ビジネスコーチングの学び、久野塾でのリーダーシップについての学びがなかったら、自分に合ったリーダーシップスタイルについて考えることすらなかったかもしれません。
学び前のマネジメント手法は本当に酷いものでした。ダイアログ10期生の里中さんはよく知っていると思いますが、恥ずかし過ぎるので酷さの説明は割愛します・・・。
塾で学んだ考え方を取り入れ、アクションを起こし、成果が出せていなければ、組織の立ち上げ、既存組織の再構築などは間違いなく任されていなかったでしょう。嚴塾でも深く考えた「組織のミッション、ビジョン、バリューって何?」は今も必ずメンバーと議論しています。

② 個を磨き続ける姿勢、行動が身を助けてくれる。
ポジション、役割によって必要なテクニカルスキル、ヒューマンスキル、コンセプチュアルスキルの比率が変化すると言われますが、何れも磨き続けないと錆びついて気づくと使いものにならなくなります。
特に若手は貪欲に学び、高いテクニカルスキルを身に付けているので、彼ら、彼女らにとって魅力的なヒューマンスキル、コンセプチュアルスキルが無いマネージャーは見向きもされないのでは?と私は常に恐れています。

直近数年は初の新規事業開発、十年ぶりの法人営業復帰など、テクニカルスキルを身に付ける、身に付けなおす必要性を感じスクールに通っていました。塾で学んだ考え方、姿勢はテクニカル、ヒューマン、コンセプチュアルのスキルを高めるためのベースとなっていると実感しています。

今期から着任した部署で掲げているスローガンは、
・「見える景色を変える」
~行動を変え、結果・成果を出せば必ず景色は変わります~
・「個を磨く、高める」
~強みを伸ばして、自分の身は自分で守る。セカンドキャリアを見据えまだまだ成長を~
です。
メンバー全員が本当によく頑張り、想定を大きく上回る結果、成果を出し、今期を終えることが出来そうです。

■最後に
今回リレートークの機会を頂き、私にとっての塾とは?を正直、初めて振り返りました。学びで得たものは私の「拠り所」であり「身を助けてくれるもの」となっていました。久野塾長、鈴井副塾長をはじめ理事、関係者の皆さん、素晴らしい学びの機会を与えて頂き心から感謝申し上げます。誠にありがとう御座いました。